人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あいまいさを引きうけて



あいまいさを引きうけて_d0220685_09255341.jpeg















『あいまいさを引きうけて』
清水眞砂子 日常を散策するⅢ
かもがわ出版


読み終えたばかりで、まだ整理ができていない。
というのも、考えさせられることばかりが詰まっていて、
ひとつずつ、どう掬いとろうか、向き合いながらむさぼ
り読んでいた。が、しかし、そんなすぐに掬い取れない
のである。
『ゲド戦記』を読んで哲学する、勉強会にお邪魔するよ
うになってから、ル=グゥインの言葉や清水眞砂子さん
の言葉が常に身近にあった。

この書のはじまりは
『本を読むこと、壊されること』から始まる。
これは2017年2月12日に多摩図書館で行われた講演を
起こしたもの。

「本を読むと心が豊かになる」という言葉に対して考え
なさいと、ある種警笛を鳴らされている。
わたしが受け止めた解釈では、この言葉に甘え、依存し
ていることはないか?、そう問われていると感じて、と
にかく、この言葉にはドッキリした。

なぜドッキリしたか。
細々とながら、5人の子どもとの本の思い出や、文庫で
の子どもたちとの経験で、『絵本のある暮らし』という
題名で、小さな講座の声がかかるようになり、
そこで、心が豊かになると言っていないか?単純に伝え
ていないだろうかと、一瞬立ち止まったまま動けなかった。

清水さんはそのなかで

『優しくなるとか、穏やかになるとか、平らかになるということ即、
心が豊かになることではない。自分自身が平らかだと思っていた心
を掻き立てられ、さまざまな思いをひっくり返されて、今まで無意
識の中にうずもれていたところが堀り起こされ、意識にのぼるよう
になる。己の中にひそんでいた思いがけない闇もあばかれる。そう
した経過をふんでこそ、人はようやく人になっていくのではないで
しょうか。ペラッと平らかになることばかり求められるとしたら、
そういう読書はむしろしないほうがよいのではないかとさえ思います。』
(本書39p 8L〜15Lまで)

ここを読んだ時に、頭をこづかれたぐらいの衝撃が入った。


今日、もうひとつ伝えたい大事なこと。
最後の『問いを受けついで』2001年の2月 鶴見俊輔さんと
の対話のなかで
240p そこで、戦争を体験した人と体験していない人との考
や感覚の隔たりについて書かれている。清水眞砂子さんは、あ
る学生の言葉をヒントにいきついた考えを書かれている。

『私たちは、平和が生きのびられなくて戦争をおっぱじめるんじゃないか。』

実は、先日読み終えたばかりの『ゲド戦記6 アースシーの風』
を読んだ時に、感じたことだった。

最後の章の『再結集』でロークにオールキャスト(ゲドはいないが)
が集まる。カルガド帝国の王女セセラクが昔から伝わる竜と人の話
をきっかけに、それぞれが調べたり、言い伝えられたりして、知っ
てことを伝えあうシーンがある。
そこでアイリアンが言うのだ。そのセリフが上の清水さんの言葉と
重なって聞こえる。自ら選んだ、平和で快適に過ごせる土地を、隣
の芝生は青く見える、あの感覚で、手放したはずの、竜の自由さえ
欲しくなる。
竜を通して、またゲド戦記の中で、好き勝手に自分たちの欲で作ら
れた均衡を大事にしている現代のわたしたちに、お前たちか勝手だ
!と言い放たれ、雷に打たれたような思いにかられた。
カレシンの『欲は太陽まで消す』という言葉は特に、皮膚がヒリヒリ
するほど、心は震えた。


『あいまいさを引きうけて』を読み終えたことで、身体中に様々な
事柄がかけめぐりすぎたのか、漆喰の闇の中、よく眠れずにいた。

この未消化の感覚は、読みすすめていくしかない。
わたしの手元には『夜が明けるまで』ヴォイチェホフスカ作(岩波
少年文庫)『合い言葉は手ふくろの片っぽ』乙骨淑子(岩波少年文
庫)そして、今日、百町森さんで吉野せいさんを買い求める。

読んで、壊して、新しい自分と向き合いたい。


by sorita-exlibris | 2018-08-04 10:05 | 清水眞砂子 | Trackback | Comments(0)

絵本のある暮らしに憧れていたら、いつのまにかたくさんの書物に囲まれていました。htttp://www.kodomiru.com 絵本と子育てがいっぱい書いている初期ののブログはコチラ http://soritant.exblog.jp/


by sorita