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なぞの娘キャロライン

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なぞの娘キャロライン
E.L.カニグズバーグ 作
小島希里 訳
岩波少年文庫


表紙絵を見ると窓から外を覗く二人の女性。
よく見ると、窓枠が二つ。
つまり、これは同じ女性なのか?そうではないのか?


誘拐された後、行方不明だった姉が突然帰ってきた。
莫大な遺産の相続権を主張できる最終期限の35歳の誕生日の
ちょうどひと月前に。


見返しの紹介には

『行方不明の年の離れた姉が、突然もどってきた。マスコミは大さわぎ。
ぼくたちの生活のリズムはめちゃくちゃ……平和な一家をまきこんだ事件を軽妙な
タッチで描きながら、意外な結末へと導く、ミステリー。』

と紹介されている。

さて、ネタバレはあまりしない方がいいけれど、
話の中心となるアトキンズ家は複雑だ。

姉のキャロラインの母はもういなくて、お父さんは再婚し、
子どもが二人。この物語もその二人のウィンストンと゛ハイジ“が進行役をしている。
二人の母のグレースはおおいに不満を思っている。


本当に、姉は姉なのか?

物語の焦点はそれだけでは終わらない。
カニグズバーグの特徴だと言えるのだが、ひとつの主題だと思わせる中には、
同じように主題となるべく解決を必要とするものが同時進行で流れていく。

この作品にもたくさんの伏線が引かれていく。

気づくと、読み手は、ストーリーの傍観者でありながら、
まるで、実体験をしているかのように、話を追うことになる。

カニグズバーグのすごいところは、どの作品も社会的に、訴えたい゛主題”が必ず存在する。

子どもは大人の飾りではないし、どんな子どもでも
゛わたし”を持っている。
わたしはわたしでしかない。
親のエゴで、子どもを知らないうちに籠に閉じ込めていることがあることを
この作品を通して気づくだろう。

そして、子どもがある時導かれるきっかけとなる大人は親とは限らない。
わたしは児童文学の作品の多くがそうであるように、
ちいさな人を助けてあげられる大人がたくさんいる社会になってほしいと願う。

カニグズバーグに出てくる大人も、とても素敵だ。
そうではない人も、遠慮なく描かれているのも好きだ。
とにかく読んでみてよ!とどの作品も胸を張っておすすめできるのに、
品切れ絶版ばかり。
カニグズバーグこそ、今の世の中の子どもにも大人にも必要だと思う。
ケストナーやピアスとおなじぐらいに。

カニグズバーグが描く、ちょっとユーモアのあるミステリーをどうぞ。

損はさせません。


by sorita-exlibris | 2020-03-22 23:16 | E.L.カニグズバーグ | Trackback | Comments(0)

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