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ちいさなたいこ

何年か前の夏に
裏庭でかぼちゃがなった。

わたしが干してそのまま忘れたかぼちゃのたねが出てきて
母と面白半分で植えてみたら
にょきにょきと茎が伸びて葉も大きくなっていった。
ある日フェンスにからまりはびこったかぼちゃの蔓をみると
かぼちゃがひとつだけなっている。

そのまま日にちをおいたら、どんどん大きくなっていった。
フェンスに宙ぶらりんでなっているかぼちゃ。
重たいのに、落ちもせず上手になっていた。
最後は心配になって、少しフェンスから助けてやったのだけど
見るたびに、お囃子が聞こえてきやしないかと耳を澄ましていた。

子どもたちにも、『ちいさなたいこ』を読むたびに
裏のかぼちゃも小人が住んでいるかも、
そんな話をして、楽しみにしていた。

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ちいさなたいこ
松岡 享子
秋野 不矩
福音館書店


春にかぼちゃの種を植えたおじいさんとおばあさんの畑に
大きな大きなかぼちゃがなった。
あれあれ、どこからかお囃子が聞こえてくる、と思ったら
それはかぼちゃの中からだった。

これだけでも、わくわくしませんか?
中ではどんな人たちがお囃子をしてるんだろうか。
どんな小さい人なんだろうか。
太鼓も笛の音も聞こえてくる。

たまらずのぞき見をしたくなる。
こういうお話にはかならず、”ちょっと見られる”ところがある。

子どもは息をのんで一緒にのぞき見をしてくれる。

そんな子どもたちが見られること、
一緒に、ワクワクする心の動きを楽しめる一冊。

末娘に読んだ時、「ねぇねぇ、かぼちゃに穴をあけよう。」
そう言いました。

ドキドキしながら耳をつけても静かだったかぼちゃ。
食べる時も、なかに小さな人がいたら怖がるよ、と本気で
心配する子どもたち。

絵本の世界なのに、どこか彼らの中には異世界と繋がる
不思議な鍵を持っているとしか思えない時がある。

いつだったか、小さな時、わたしもその鍵を持っていた時があった。

忘れないでいたら、子どもと一緒にまた遊びにいけるかもしれない。





by sorita-exlibris | 2021-07-20 22:50 | 昔話 寓話 | Trackback | Comments(0)

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