人気ブログランキング | 話題のタグを見る

人間だって空を飛べる―アメリカ黒人民話集ー

この1週間、たくさんいつもより本が読めました。
どっぷりと本が読めるというのはいいことです。

先日、三女から連絡が来ました。
中島京子さんの「やさしい猫」(中央公論新社)は何度も読み直す
本になりそう、と話していて嬉しくなりました。
彼女もそういう道が気になるようです。


多読もいいけれど、気に入った本を何度も読み返すというのも一興。

友人も、これからの読書は新しいものを読むというよりも、
これまで読んだ自分の中での必要な本、古典を読み返したい。
そう話していました。

わたしはまだまだ読みたい本ばかりがたくさんありすぎです。


人間だって空を飛べる―アメリカ黒人民話集ー_d0220685_23150933.jpg
人間だって空を飛べる
アメリカ黒人民話集
ヴァージニア・ハミルトン 語り・遍
金関寿夫 訳
ディロン夫妻 画 
福音館文庫



このお話は5月のお話会で、憧れのNさんが語られたのを聴いた時に
すぐ注文をした本です。
その時も在庫僅少でしたが、つい先日教文館ナルニア国で行われていた
福音館書店の品切れ本フェアのリストの中に入っていました137.png
非常に残念です。

巻末にハミルトンによる”原書まえがき”があります。

 ある民族の間に語り伝えられた物語を読むと、わたしたちは、その人たちの
 生活のそもそもの始まり、その人たちが味わった、さまざまな希望や挫折の日々
 にまで連れもどされます。
 (本書 p235.1-2l)

24編のお話があり、読むとわかりますが、このお話はどこかで聞いたことがある。
これはあれに似てるな、なるほど、これはあの話だと気づくたびに、語りという
ものは、世界をぐるっとまわっているなと感心をすると同時に、どの時代もどの
人たちにも、語られることで、生きる希望や、糧、支えになっていると思いました。


Nさんの語りで聞いたのは、本書最後のお話で、タイトルにもなっている
『人間だって空を飛べる』
せつなく、悲しいなかにも、希望を見出せるような話です。
聞いていて、どこか涙が出そうで、でも胸があったかく、
信じたい、信じていたいと思えてくるような、不思議な話でした。

BLMについては過去にブログを書いています。


この黒人民話集の中での動物の民話は、クスっとさせられるものが多く
『トカゲ兄貴とウサギ兄貴の話』は『おいしいおかゆ』に似ていておかしかったし、
あんまり楽しくて、『牡ライオンとクマ兄貴とウサギ兄貴の話』は
中3になる娘に無理矢理読み聞かせしました(笑)
『リトル・エイト・ジョン」のお話も、2人の語りの友人が
別々で語ったのを聴いたことがあります。
こちら子ども向けの教訓物語だそうですが(笑)
ちょっとぞくっとするシュールな話なんですが、
聞いてる子どもたちも、最後に、え?となってました。
そういえば、最近語られてないからおねだりしてみようかな。


また奴隷解放された実話も収録されています。

こういった本は品切れになると困るのですが・・・。

こういう本は、読みなさいと言っても無理だろうし、
でも中学生以上には読んでほしい一冊。
秋に人権週間があるので、ぜひそのまえにまず親御さんが読まれて、
常にテーブルにある、という戦法をおすすめします(笑)

現に末娘が「人間も空を飛べるの?」と聞いてきました。
しめしめ。



挿し絵はディロン夫妻。
調べてみたら、レイ・ブラッドベリでディロン夫妻の絵のを見つけたので
予約しました。たのしみ。たのしみ。




by sorita-exlibris | 2022-08-13 23:55 | 昔話 寓話 | Trackback | Comments(0)

絵本のある暮らしに憧れていたら、いつのまにかたくさんの書物に囲まれていました。htttp://www.kodomiru.com 絵本と子育てがいっぱい書いている初期ののブログはコチラ http://soritant.exblog.jp/


by sorita