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ちいさな虫のおおきな本

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虫の絵本といったら、うちの文庫では熊田千佳慕さんがまず一押し。
リアルすぎて、虫が苦手なお母さんは小さく震えていますが、
子どもにとっては、細かく間近で見られる大チャンス!
そしてなにより美しい!
一度だけ、熊千佳さんの原画を手元で拝見したことがあります。
どれだけ見ていても、惹きこまれる、とても繊細な優しい絵でした。

熊千佳さんを子どもを子どもと呼びません。「ちいさな人」と確か呼んでいました。

今日紹介するのは、熊千佳さんのような美しさではないですが、
おすすめの虫の絵本です。

ちいさな虫のおおきな本
ユーヴァル・ゾマー
日本語版監修 小松 貴
東京書籍

数年前見つけたこの絵本は、リアルでもありますが、絵のトーンも柔らかく、
しかも子どもの目線に優しく描かれているので、わかりやすい。
ムカデに嚙まれて以来、とても抵抗感あるわたしは、足がリアルすぎて
少し身ぶるいしますが、他の虫たちは見入ってしまいます。

ただ色々な虫が描かれているだけでなく、生態も書き込まれていて
興味関心が増すようになっています。

例えば『ガ』のページ

ガは昼間、何をしているの?

たしかに、昼間ってどこにいるの?

ガの羽は粉だらけ

鱗粉は手につくとさらっとしてて、柔らかくて驚いたことがあるけどアレルギーの子には大敵!

で、本には ガやチョウの羽にはぜったいさわらないで!こなごなになるかもしれないから。
とあります。ハイ。触って粉々にしたのはワタシです。ごめんなさい。

ガの羽には「眼」がある?

そうそう子どもの頃、これが眼だと思ってた!

見開きで描かれた草原や木のところに、ガが29匹描かれていて、
みつけられるようになっています。

ガのページでのガの絵は、羽が綺麗に描かれています。


この本を買ってすぐに、放課後授業の読み聞かせの時に持っていったら、
いつもは「つぅまんねぇぇ」と言って困らせてくれる男子君が
「お!!!!!虫じゃん!!!!」
と言いながら、わたしの袖をつかみ、隣に座らせ、延々と全てのページの
虫の解説が入りました(笑)

水を得た魚とはこういうことか!の状態の彼。

ガのページに来た時に、「ねぇ、先生はガと蝶々の見分けを知っている?」
と聞かれ、知ってはいるけど、「教えておしえて!」と聞き返したら
得意げに「まずぅ、簡単に見分けられる方法としては、羽の閉じ方なんだよ」
それは知ってると思いながら聞いていると(笑)
触覚や果てには翅棘の違いまで発展して(それは知らなかった)、
そのあたりボーとなってたら
「ねぇ、聞いてるの?」と怒られました。ハイ。

そして見終わって一言、
「うん、この絵本はよくできてるよ。きっと僕の仲良しの先生もそういう」
だれ?と聞くと、そのとても仲良しの先生とは「今森光彦」先生でした。

虫が大好きで、毎年虫の教室にいき、今森先生の講座は泊まりも含めて
全部行ってたそう。毎年いくんだ!と言ってたけど、昨年はどうしたのかな。

そんなわけで、つぅまぁんねぇと言ってた、まじめに聞かないグループの一人だった
彼は、虫の本がきっかけに、他の本も見るようになりました。
そこで、わたしと彼の信頼関係が築けた、んでしょうね。

詳しい子には物足りなさもあるかもしれないけど、
彼のように、その本で誰かに読んで聞かせて、説明するという
ことをしてくれるかもしれないですよね。
ちょっと大判で、手が出にくいかもしれませんが(しかも値段も2200円税別)と
少し高めではありますが、損にはならない絵本です。

この本は2017年に発行で、2019年にほるぷ出版から
「もりのおくのクリスマスツリー」も出ています。
絵は全体してとても美しいです。動物の目が気にはなりますが、おおむねよし。

虫の絵本も東京書籍が出したというのも、軽い驚きは当時ありました。(笑)

さて、ユーヴァル・ゾマーさんは、イギリスのillustratorのようで、
世界各国で注目されている1人のようです。
かくいうわたしも今後出される絵本を注目しています。

外は暑いから、少し部屋で絵本を見よう、
そう言ってこの絵本で釣れるといいのだけど。
子どもはあっつっくても、雨降ってても、風がびゅーびゅーしてても
関係ない元気な人たちですから。

エキスを分けてもらいたいです。(笑)


# by sorita-exlibris | 2021-08-07 10:40 | 虫の絵本 | Trackback | Comments(0)

挑発する少女小説



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挑発する少女小説
齋藤美奈子 
河出新書


タイトルから著者名に目を移すと
すごいことが書いてそうだと、期待に溢れてドギマギします。
だって齋藤美奈子氏ですよ。
遠慮なんて絶対ありません。思うがまま、ストレートにぶつけてくるはずです。

そして読んでみると、やはり「すごいな」という興奮で
心の中は渦巻きました。

東京新聞の『本音のコラム』の齋藤美奈子氏のがキレキレで好きです。
読むたびに、すごいな、こういう切り込み、スパッと言いぬく、
わたしもそうなりたい、と憧れの的でした。

そして、当然のことながら、今回の著書『挑発する少女小説』も、
ほう!へぇ!なるほど!
と唸りっぱなし。
たまに、そうか?とツッコミたいところがあっても、ちゃんと
終わりに回収しています。
積み重ねてきたものが違いすぎるので、憧れのままで終わりますが、
最初から終わりまで、一瞬の隙も与えずに読ませるのはすごいと思いました。


紹介されている少女小説は
『小公女』バーネット
『若草物語』オルコット
『ハイジ』シュピーリ
『赤毛のアン』モンゴメリ
『あしながおじさん』ウェブスター
『秘密の花園』バーネット
『大草原の小さな家』シリーズ ワイルダー
『ふたりのロッテ』ケストナー
『長くつ下のピッピ』リンドグレーン

以上9つ。

さあ、あなたはどのくらい読んだことがありますか?
そしてどの話が好きですか?
『赤毛のアン』が好き、と言ったら、たいそう馬鹿にされたことがあります(笑)
それと並べて、どっちが好き?と聞かれた話がなんだったか思い出せません。
う~~ん。

『若草物語』も大好きでした。
わたしが共感してたのは、今も昔も『ジョー』
小さな頃から男に生まれたかったと常々思っていたから、
共感しまくりでした!
が、わたしはちびだし、たわわな髪の毛はもっていなくて
茶色がかった、くるくる天然パーマのいう事きかないやせ細った小娘でした。

『大草原の小さな家』も好きでしたね。
誰が、というより、あの生活に憧れていました。
北海道の田舎育ちの母たちから話しを聞いていたのもあるかもしれません。
大草原のような生活を地でいってましたから。(笑)

『ふたりのロッテ』や『長くつ下のピッピ』は大人になって、
子どもと読みました。
どちらにも子どもと一緒に魅了されていました。
大好きな二冊です。

『小公女』や『秘密の花園』は特に憧れなかった子ども時代でした。
なにせ、人形とかフリフリとかカワイイものは全て嫌いな
女子でしたから。
だからか、大人になってからの方が楽しく読めました。

『あしながおじさん』は、残念なことに、あしの長い影のことばかりに
気を取られて、子どもの時にはそれほど心が躍ることはなかったのです。
なんでだろう。
大人になってから読んだ方が、いろんな意味で楽しめたし、
「あーあ、わたしにもこんな人いたらいいのに」
とあほみたいなことをつぶやいたどうしようもない大人でした。
でも、いつ読んでも、主人公ジュディに共感し、且つ惚れるのは
奨学金を取れるのに断りなさいと言うあしながおじさんに
啖呵を切る場面です。
なので、実際そんなことがあっても断るでしょうね。
そういうの好きじゃないから。

どの作品も書かれた時代背景や、フェミニズム、ジェンダー論と
はばひろーく、ズバッと美奈子氏が切り込んでいる姿は
もうあっぱれとしか言葉がでないのですが。
(だって、あしながおじさんのところでも、結局結婚なのねぇと思う人に
バシッと切り込みいっています(笑))

おわりに、こんな言葉があります。

『2020年代にもなって十九世紀の少女小説などを読む価値があるのか、
と思わなかったわけでもありません。こんなの単なるノスタルジーじゃないのか、と。』
(本書p263)

ですがそのあとに『優れた少女小説は、形を変えて何度でもよみがえる』とあります。
齋藤美奈子氏は執筆中に二つの映画とドラマに出会ったそうです。

ひとつは『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』アメリカ映画
(監督&脚本グレタ・ガーウィク/製作エイミー・パスカル/ 2019年)
もう一つは『アンという名の少女』(製作総指揮モイラ・ウォリー=ベケット/ 2017年)

わたしもどちらも拝見しました。
若草物語の映画は、これまで見た中でシアーシャ・ローナンがジョーを演じた
この2019年のがベストでした。

赤毛のアンは、原作とは違う場面もあり、最初馴染めませんでしたが、
映像の美しさは太鼓判。ストーリーも現代だからこそ加えたのだろうかと
思う、細やかなアンの心理描写があり、そこから原作へと導いてくれたら
良いな思いました。

美奈子氏がどう思ったかは、著作を読むとして。

古典は飽きる、読んでてもつまらないでしょう、
時代も環境も違い過ぎるでしょう、
ともし思っている人がいたら、それはもったいないことです。

訳のいい本書でぜひ色あせない、その時を一生懸命生きる少女たちと
歩いてみてください。
そして、今だからこそ(っていつでも言ってますが)古典を薦めたい。
二学期の文庫がスタートした時、読みたいです~と殺到したら嬉しいな。
本当に読みたかったら、夏休みでも貸しちゃいます。(笑)


<わたしのおすすめ訳書>
『小公女』バーネット 高楼方子 福音館古典童話シリーズ
『若草物語』オルコット 矢川澄子 福音館古典童話シリーズ
『ハイジ』シュピーリ  上田真而子 岩波少年文庫
            矢川澄子  福音館古典童話シリーズ
 ※松永美穂さんの訳も気になります。
『赤毛のアン』モンゴメリ 村岡花子 新潮文庫
             松本侑子 文春文庫
『あしながおじさん』ウェブスター 坪井郁美 福音館古典童話シリーズ
                 谷川俊太郎 フォア文庫
                 谷川俊太郎 安野光雅絵 朝日出版社
    ※光文社古典新訳の土屋京子さんは気になります。
『秘密の花園』バーネット  野沢香織 西村書店
『ふたりのロッテ』ケストナー   高橋健二 岩波書店
『長くつ下のピッピ』リンドグレーン 大塚勇三 
                  菱木晃子  岩波書店


他におすすめがあったら教えてください。


                 

# by sorita-exlibris | 2021-08-05 23:42 | とにかくおもしろい | Trackback | Comments(0)

正吉とヤギ

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正吉とヤギ
塩野米松 文
矢吹申彦 絵
福音館書店


尊敬する友人からこの本のことを聞き、
手に入れて読み終えてから、かなりの日にちが経った。


あれからずっと、なにをしていても、また一日の終わりに
ふと考えさせられた物語だった。

祖父母と島で住んでいる6歳の正吉。
兄や正吉を学校にいれるために、出稼ぎにいっている母。

ある日、兄が育てたように、正吉のところにもヤギがきた。
ヤギはペットではない。だからその時がきたら悲しくなるから
名前をつけてはいけない。
けど、兄も少年兵として駆り出され、母も帰ってこられない正吉にとって
ヤギは新しい家族で嬉しい存在だったに違いない。
正吉は小学校にあがり、ある日疎開をすることになった。

この物語の中では、島での日常や、正吉やヤギとの暮らし。
正吉を育てている祖父母のこと。そしてともだち。

贅沢はできないけれど、毎日をつつましやかに生きている島民の生活が
描かれている。

以前、『リンドグレーンの戦争日記』にも書いてあったのは、
”ある日突然、戦争が始まっている”ということ。

危惧はしていても、気づいた時には巻き込まれている。
戦争は国がすることだから、危惧していても、始まりはわからない。
戦争は始めなくても、防ぎようがあるのに...。


読み終えた後すぐ物語のラストが、わたしには受け止めきれず
ずっと考え、友人にもそう伝えた。
モヤモヤが残ります、と。


最初は、受け止めきれず、納得いかず、この本を書架にいれるのもやめようか、とも思った。
しかし、戦争を、ただのお涙ちょうだいではなく、どういうものかを子どもたちにも
わかりやすく、自然に書かれているので、読んでほしいと結論付けたが、
すぐにここで紹介する気持ちにはなれなかった。
言葉が見つからなかったのだった。

でも、昨夜ふと考えた。
この受け止めきれない、急に訪れる悲しみが”戦争”なのだと。
あっけなく、止めようもなく現れるものが”戦争”だと。
だからこそのこのラストなんだと。

具体的に戦況がどうの、島民がどう侵略されたか、日本軍がどうしたか、
そんなことは書かれていないけれど、
書く必要なんてない。

楽しみに待っていた明日や未来が突然断たれる、それが戦争だと
知ることが十分ではないだろうか。

ここに出てくる、正吉や、祖父母のおじいやおばあ、正吉の母。その兄。
そして友達の勝。
どこかで、どこかで生きてほしいと願いつつ。
儚い夢、ありえない夢だと思いつつも、
どこかで願い、乞う。嘘であってほしいと思い続け。
喜びなどない、悲しみしかないものが戦争だと。

悲惨さで恐怖を与えるのではなく、具体的に書かれていないからこそ
人への愛に溢れ、二度と同じ思いをしたらいけない。
そう強く思わせるだろう。

時間をかけて、子どもの心に、静かに澱のように残る一冊になるはず。

4年生から大人まで。

ぜひこの夏お読みください。


追記
絵を描いた矢吹申彦氏は、おなじ福音館書店の『きょうりゅうがすわっていた』の絵も描いています。この絵本は、クリスマスに欠かせないわたしの大事な一冊。



# by sorita-exlibris | 2021-07-29 20:09 | 戦争や平和、人権の本 | Trackback | Comments(0)

アーヤと魔女

ジブリも見に行ったのと、前々から、うちの文庫でも読んで欲しい一冊なので紹介。



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📚 アーヤと魔女ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 作田中薫子訳佐竹美保絵徳間書店

聖モーウォード子どもの家の前にある置き手紙と一緒に赤ちゃんが置かれていた。どうやらその手紙によると魔女にこの子どもは追われているようだ。かならず迎え
にいくからそれまでかくまって、とある。その子の名はアーヤ。アーヤはそんなことは知らないけれど、むかーしから魔法が知りたくて仕方ない子ども。ある日、男と女が子どもを探しにきた。お母さんになりたいなんて言ってるけど、
絶対ただの"手伝い"が欲しいだけ。聖モーウォードが気に入ってるアーヤは誰かが子どもを探しにくると、気に入れらない
ようにあらゆることを試している。今回もこんな怪しい2人には引き取られたくない!
と思ってるけど、ところが引き取られてしまった。

ここからが、ここの物語の本番。どうなるかはお楽しみ。ダイアナ・ウィン・ジョーンズがすごいのは、出てくる子どもの、子どもらしいこと。
日本語おかしいけど、そうなんです。いるいる!やった、やった!そんな好奇心旺盛で、生意気で、ある意味"世界を征服"してる気でいる子どもが登場します。そして、子どもを子ども扱いして、1人の人として認めない大人。痛い思いがよぎる場面もありますよ。
ダイアナは子どもの良き代弁者だなと思う時がしばしばあります。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品がジブリで映画化されるのは二作品目。『ハウルの動く城』は、あまり原作を知られておらず、実は一冊から成っている映画では
ないことを知らない人も少なくありません。
ダイアナの作品の中で一押しを選べと言われても迷うけど、『大魔法使いクレストマンシー』シリーズはぜひおすすめ。7冊のどれもが、惹きつけて離しません。
当時わたしは次々に読んでいて、すっかり寝不足な毎日でした。魔法、いたずら、秘密、ネコの命は9つある、伝統、代々継承。
このシリーズが外伝も含めて7冊もあるのを見ると、『アーヤと魔女』も何冊も出る予定
だったんじゃないかな。
残念ながらこの作品が遺作です。
最後まで、子どもたちに物語を届けようとしてくれたファンタジーの女王、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ。ジブリがどんな映画にするかは興味があります。
さて、もう一つ書きたいのは佐竹美保氏。『守り人』シリーズの方でもあります。佐竹美保の絵で行きたいと訳者や作者が希望したという話もよく聞いたので、
誰が装画を書ているのか、そういう視点で本を探すのも楽しいですよ。

『アーヤと魔女』よく読める子は3年生頃から。でも親子で読むのをおすすめします。紹介したクレストマンシーは、5年生あたりからおすすめ。読める子は4年生でもするする行くでしょう。
でも、"早く読めるから'は、喜ぶポイントではないです。読めるのと理解できるのはまた別の話。なんだか惹き込まれてぐいぐい読んでしまう本があります。
うちの子でいうと、小4で『ナルニア国物語』を全巻読みましたが、
その後、本人たちは3回ほど読み直しをしてます。
そのたびに、4年生で止まってたら、理解できてない場所がそのままだった、と言うほど。
この夏、心に残る本たちに出会えますように!



# by sorita-exlibris | 2021-07-28 09:30 | 魔女、魔法 | Trackback | Comments(0)

ジブリの大博覧会

昨日は友人のおかげで、友人の子と末娘を連れて『ジブリの大博覧会』に行ってきました。
愛・地球博記念公園で開催してた『ジブリの大博覧会』展示面積も5倍に拡がり、
展示物も増えて、名古屋を最後に5年の巡回を終えます。


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完全予約制とはいえ、すごい人!
ジブリの映画ができるまで、35年の集大成でした!

どの部屋でも感動しっぱなし。プロデュースの流れ、広告宣伝の流れ、
制作過程。糸井重里氏とのキャッチコピーのやりとり。
普段なら目にすることはないキャッチコピーのボツ案になつた他候補のコピーも展示されていましたよ。
そういう苦労の中で仕上げられてきたポスター群を見て、涙腺が緩みました。
わたしも曲がりなりにも、そういう仕事(映画配給に比べたら、全くの小さなことですが)
をしてきたので、多少なりとも苦労がわかるのですが、ただただジブリの仕事に感動しました。
なかでも、これまでの新聞広告が壁一面に貼りだされた場所は圧巻!

圧巻じゃない、または感動しない部屋はどこだと言われたら一言「ない」と答えるぐらい
どこも作りがすごかったです。

ナウシカの王蟲の世界。ここは自分の感情を伝えられる年齢になった子どもに
感じたことを聞いてみたい。
完成度は言うまでもないけれど、この部屋で感じたのは『畏怖』
ジブリ作品を見た時にいつも感じる『畏怖』
作品に感じるのではなく、
映画を通してその世界にある、あらゆる『畏怖』を伝えてくれるよう
に思います。そしてその『畏怖』は人間が忘れていけない大事なもの。
宮崎駿氏が戦闘機オタクは周知の事実。空を飛ぶ憧れに関して、
人間や社会はどう変化していったのかの年表も見ごたえあり。
機械を熟知しているからこそ、産業革命以後の早回しのような人間社会
の歩みに警笛をならしてくれているのではないでしょうか。


『もののけ姫』を作るところで、一つの言葉が印象に残りました。

「明日の見えなくなった日本の中で、人はどう生きていくのか」

(覚えていますか?この映画の糸井氏のコピーは『生きろ』 あれは痺れました)

この思いをコンセプトに作られてました。そこを伝えるのに室町まで遡る意味もありました。
製作1997年。
あれから約四半世紀。もっとそんな状況になっているのでは?


『ハウルの動く城』のところでは、自分のことがわからない女の子が
魔法をかけられることで自分を知っていく、自分を意識せざるを得ず、
気づいていく。
ここを読んだ時も原作で感じた同じ匂いに思わず顔が緩みました。
夢が現実になりすぎると幻滅しちゃうこともあるけれど、
ジブリの見せ方はそこがいつもうまいなと思います。
ちゃんとわかっているな、自分たちの気持ちだけを押し付けないなと感じます。

最後に感動したことをひとつ。
会場に行かれたら、ぜひ鈴木氏の仕事部屋をガン見してきてください。
わたしは本棚に惹かれてしばらく見ていました。
ケストナーがずらっと並んでいました。
下の段を見るとカニグズバーグの『ジョコンダ夫人の肖像』もありました。
他にも胸キュンがありましたが、どうぞみなさまで見つけにお出かけください^^
写真は我が家の本棚です。

もう一度行きたいな。平日に行って、空飛ぶ飛行船をしばらく眺めていたい。
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# by sorita-exlibris | 2021-07-26 09:52 | 暮らしの綴り文 | Trackback | Comments(0)

絵本のある暮らしに憧れていたら、いつのまにかたくさんの書物に囲まれていました。htttp://www.kodomiru.com 絵本と子育てがいっぱい書いている初期ののブログはコチラ http://soritant.exblog.jp/


by sorita