ちいさな虫のおおきな本
2021年 08月 07日
虫の絵本といったら、うちの文庫では熊田千佳慕さんがまず一押し。
リアルすぎて、虫が苦手なお母さんは小さく震えていますが、
子どもにとっては、細かく間近で見られる大チャンス!
そしてなにより美しい!
一度だけ、熊千佳さんの原画を手元で拝見したことがあります。
どれだけ見ていても、惹きこまれる、とても繊細な優しい絵でした。
熊千佳さんを子どもを子どもと呼びません。「ちいさな人」と確か呼んでいました。
今日紹介するのは、熊千佳さんのような美しさではないですが、
おすすめの虫の絵本です。
ちいさな虫のおおきな本
ユーヴァル・ゾマー
日本語版監修 小松 貴
東京書籍
数年前見つけたこの絵本は、リアルでもありますが、絵のトーンも柔らかく、
しかも子どもの目線に優しく描かれているので、わかりやすい。
ムカデに嚙まれて以来、とても抵抗感あるわたしは、足がリアルすぎて
少し身ぶるいしますが、他の虫たちは見入ってしまいます。
ただ色々な虫が描かれているだけでなく、生態も書き込まれていて
興味関心が増すようになっています。
例えば『ガ』のページ
ガは昼間、何をしているの?
たしかに、昼間ってどこにいるの?
ガの羽は粉だらけ
鱗粉は手につくとさらっとしてて、柔らかくて驚いたことがあるけどアレルギーの子には大敵!
で、本には ガやチョウの羽にはぜったいさわらないで!こなごなになるかもしれないから。
とあります。ハイ。触って粉々にしたのはワタシです。ごめんなさい。
ガの羽には「眼」がある?
そうそう子どもの頃、これが眼だと思ってた!
見開きで描かれた草原や木のところに、ガが29匹描かれていて、
みつけられるようになっています。
ガのページでのガの絵は、羽が綺麗に描かれています。
この本を買ってすぐに、放課後授業の読み聞かせの時に持っていったら、
いつもは「つぅまんねぇぇ」と言って困らせてくれる男子君が
「お!!!!!虫じゃん!!!!」
と言いながら、わたしの袖をつかみ、隣に座らせ、延々と全てのページの
虫の解説が入りました(笑)
水を得た魚とはこういうことか!の状態の彼。
ガのページに来た時に、「ねぇ、先生はガと蝶々の見分けを知っている?」
と聞かれ、知ってはいるけど、「教えておしえて!」と聞き返したら
得意げに「まずぅ、簡単に見分けられる方法としては、羽の閉じ方なんだよ」
それは知ってると思いながら聞いていると(笑)
触覚や果てには翅棘の違いまで発展して(それは知らなかった)、
そのあたりボーとなってたら
「ねぇ、聞いてるの?」と怒られました。ハイ。
そして見終わって一言、
「うん、この絵本はよくできてるよ。きっと僕の仲良しの先生もそういう」
だれ?と聞くと、そのとても仲良しの先生とは「今森光彦」先生でした。
虫が大好きで、毎年虫の教室にいき、今森先生の講座は泊まりも含めて
全部行ってたそう。毎年いくんだ!と言ってたけど、昨年はどうしたのかな。
そんなわけで、つぅまぁんねぇと言ってた、まじめに聞かないグループの一人だった
彼は、虫の本がきっかけに、他の本も見るようになりました。
そこで、わたしと彼の信頼関係が築けた、んでしょうね。
詳しい子には物足りなさもあるかもしれないけど、
彼のように、その本で誰かに読んで聞かせて、説明するという
ことをしてくれるかもしれないですよね。
ちょっと大判で、手が出にくいかもしれませんが(しかも値段も2200円税別)と
少し高めではありますが、損にはならない絵本です。
この本は2017年に発行で、2019年にほるぷ出版から
「もりのおくのクリスマスツリー」も出ています。
絵は全体してとても美しいです。動物の目が気にはなりますが、おおむねよし。
虫の絵本も東京書籍が出したというのも、軽い驚きは当時ありました。(笑)
さて、ユーヴァル・ゾマーさんは、イギリスのillustratorのようで、
世界各国で注目されている1人のようです。
かくいうわたしも今後出される絵本を注目しています。
外は暑いから、少し部屋で絵本を見よう、
そう言ってこの絵本で釣れるといいのだけど。
子どもはあっつっくても、雨降ってても、風がびゅーびゅーしてても
関係ない元気な人たちですから。
エキスを分けてもらいたいです。(笑)
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by sorita-exlibris
| 2021-08-07 10:40
| 虫の絵本
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